「ものづくり思考力」とは、広く製品(ソフトウェア等も含む)を作る際に必要になる一般的・汎用的な「ものの視方」や思考技法に関わる能力です。
「ものづくりに必要な思考能力」と言うと、扱っている製品分野に固有の知識や、機械工学、材料工学、熱工学、電気・電子工学、化学工学、通信・情報工学、ソフトウェア工学などの学科知識を思い浮かべがちです。しかし、顧客に受け入れられる製品を効率的につくるためには、このような製品分野知識や学科知識だけではなく、分野横断的、学科横断的な「ものの視方」や思考技法が必要になります。
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例えば、「顧客に受け入れられるためには、高い品質の製品でなければならない」ということが言われます。しかし、そもそもそこで言う「品質」とは何なのか? 「顧客満足度」とどのように関係するのか? 「信頼性」等とどのように異なるのか? また、「高機能を追究するだけではダメ」ということも言われますが、そもそも「機能」とは何なのか? 「機能以外に追求すべき事項」には何があるのか? このようなことを理解しないで、「顧客に受け入れられる製品」を作ることはできません。 |
ものづくり思考力を構成する思考技法には、以下のようなものがあります。 ・品質管理手法(統計的品質管理、実験計画法、品質工学、6σなど) ・生産管理手法(IEなど) ・信頼性向上手法(FTA、FMEAなど) ・顧客志向の設計手法(QFD、VEなど) ・プロジェクトマネジメント ・アイデア発想法(KJ法、TRIZなど) ・権利化手法(特許出願) これらの思考技法は、学科横断的な内容であること、ビジネスの世界で確立されたことから、通常の学校教育では身に付けられず、入社後に習得しなければなりません。 |
ものづくり企業では、OJTや社内講師による研修を通じて、社員のものづくり思考力の養成・強化を図っているのが通常です。 このようなOJT・社内研修中心の取組みは、自社の現状のものづくりに適合した思考力の育成・強化が行いやすいという利点がある一方で、以下のような弱点を抱えています。 ・一部の手法だけに偏重した養成・強化となりがちである ・技能伝承の域を脱せず、知識の体系化が図りにくい ・他社における活動状況や知見を反映しにくい ・社内講師の能力の制約を受けるとともに、ブラッシュアップが図りにくい したがって、ものづくり思考力を幅広く効果的に強化するためには、OJT・社内研修と専門の講師による社外研修とを効果的に組み合わせることが望まれます。 |