株式会社DAPリアライズ|VEMICとは?

「データ処理、インターネット接続、通話、テレビ受信、撮像、GPSなどの機能を全て備え、しかも、様々な入出力用機器を接続することで自由に拡張可能な携帯情報通信機器(=Versatile and Expandable Mobile Information and Communication device)」のことです。
なお、VEMICには、「非常に経済的(Very EconoMICal)」という意味も込められています。
VEMICと従来の「フィーチャーフォン(多機能携帯電話端末)」や「スマートフォン(汎用OSを搭載した多機能携帯電話端末)」との違いはどこにあるのでしょうか? “Versatile(万能な)” という点では本質的な違いはありません。しかし、現行の多機能携帯電話端末は、以下の機能を備えていないため、“Expandable(拡張可能)” とは成り得ていません。
付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度(画素数)の高い画像の表示信号(=高解像度外部信号)を生成して外部に出力する
確かに、一部の「フィーターフォン」や「スマートフォン」には、画像の表示信号を生成して外部に出力する機能を備えています。しかし、その表示信号の解像度は付属ディスプレイの画面解像度を超えないため、接続された外部表示装置(テレビモニタなど)に表示される画像は、付属ディスプレイに表示される画像をただ拡大しただけの粗い画像となってしまいます。このため、例えばノートPCに表示されるような高画素数の画像は表示することができません。
このように、「高解像度外部表示信号の生成・出力機能」の有無が、VEMICと従来の「フィーチャーフォン」「スマートフォン」とを区別する本質的なポイントです。
VEMICに様々な入出力機器を接続することによって、既存の高機能デジタル機器に代替することができます。
そして、接続される入出力機器はデータ処理機能や通信機能を有しないため、安価に調達できます。このため、「フィーチャーフォン」や「スマートフォン」と他の高機能デジタル機器を併用するより、低コストで所有・利用することができます。
また、「フィーチャーフォン」や「スマートフォン」と他の高機能デジタル機器を併用する際に生じる、アプリケーションやデータの同期の問題も解消するか、または軽減されます。
 
 (1)VEMIC+外部入力・出力装置 → デスクトップPC、ノートPC
現状のスマートフォンは、ウェブサイト閲覧、文書作成、表計算、プレゼンテーション等、PCの基本的機能をほぼ網羅しています。しかし、それにも関わらず、スマートフォンがPCを完全に代替できないのは、ひとえにサイズ上の制約から、ユーザーインターフェース(表示性や操作性)を十分に高められないことにあります。
しかし、VEMICでは、その本質的な機能である「高解像度外部表示信号の生成・出力機能」に加えて、「外部入力データの受信・処理機能」を有するようにすることで、容易にPCに代替できるコンピュータシステムを構成することができます。
VEMICを中核とするコンピュータシステムの形式としては、以下の2種類が考えられます。一つは、VEMICをドッキングステーション(又はクレイドル)に接続し、そのドッキングステーションにモニタ(外部出力装置)やキーボード(外部入力装置)等を接続する形式であり、もう一つは、VEMICにノートPCに似た形態の外部入出力ユニット(ただし、CPUなどのデータ処理手段は備えていない)を接続する形式です。
なお、いずれの形式においても、ドッキングステーションや外部入出力ユニット側に大容量の記憶手段(HDDなど)を備えることによって、VEMIC側の記憶容量を補うことができます。
 
 (2)VEMIC(テレビチューナー機能付き)+モニタ → テレビセット
テレビチューナー機能付きのVEMICとモニタを接続したシステムで現状のテレビセットを代替する方法としては、以下の2種類が考えられます。
第一は、VEMIC自体がHDTV(=High Definition TeleVision。ハイビジョンなどの高精細度テレビ放送)を受信するチューナー機能を有する方法です。この場合、VEMICにモニタが接続されている状況では、そのモニタに受信したHD動画がそのまま出力され、一方、VEMICが単独使用される状況では、付属ディスプレイに解像度が間引かれた動画が表示されます。
第二は、VEMICが、現状のフィーチャーフォンのように、移動体端末向け放送(ワンセグ放送など)を受信するチューナー機能を有した上で、いわゆる「超解像機能」(低解像度の画像から高解像度の画像を生成する機能)を有する方法です。この場合、VEMICが単独使用される状況では、付属ディスプレイにワンセグ放送などの低解像度動画がそのまま表示され、、VEMICにモニタが接続されている状況では、そのモニタに解像度を補間した高解像度の動画は表示されます。
いずれの方法においても、VEMICとモニタが接続された状況では、VEMICは、チャンネル切り替えや音量調整を行うリモートコントローラとして使用されることになります。
 
 (3)VEMIC(動画撮影機能 及び テレビチューナー機能)→ ビデオカメラ・レコーダー
動画撮影機能を有するスマートフォンやフィーチャーフォンが外部表示信号の生成・出力機能を有していれば、当然、通常のビデオカメラと同様に、録画した画像をモニタに表示することができます。しかし、VEMICの場合は、「高解像度外部表示信号(=付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度の高い画像)」を生成・出力する機能を有しているため、旧来のビデオカメラとは違い、例えばHD動画を録画した場合であっても、解像度を落とすことなくモニタに表示することができます。
さらに、VEMICが動画撮影機能に加えてテレビチューナー機能を有する場合には、撮影した動画データを保存するための記憶手段を、テレビ番組の動画データの保存用として併用することによって、ビデオレコーダー機能も実現できるようになります。そうなると、現状では、動画撮影用にはビデオカメラを、テレビ番組の録画用にはビデオレコーダーを、それぞれ併用するのが通常であるところを、動画撮影機能及びテレビチューナー機能付きのVEMICであれば1台で対応できるようになるわけです。
 
 (4)VEMIC(GPS機能付き)+車載入出力ユニット → カーナビゲーション
GPS機能付きのスマートフォンやフィーチャーフォンをカーナビゲーション用に使用することは既に行われています。しかし、少なくとも日本国内では、道路交通法上の規制から、運転者が直接が使用するのではなく、同乗者が使用することが前提となっています。もちろん、スマートフォンのサイズを大きくして(→タブレットPC)、PND(=Portable Navigation Device。ポータブルナビ)と同様の使い方をすることも想定されていますが、そうなると、スマートフォンに本来求められる携帯性は損なわれてしまいます。
それに対して、GPS機能付きのVEMICと車載入出力ユニットとを、クレイドルなどを経由して接続することによってカーナビゲーションシステムを構成すれば、スマートフォンやフィーチャーフォンに本来求められる携帯性を犠牲にすることなく、カーナビゲーション装置に必要な視認性を実現することができます。
もちろん、この場合、車載入出力ユニットには、CPUなどのデータ処理手段を備える必要はなく、例えば、タッチパネル機能付きのモニタの周辺にいくつかのハードボタンを設けた程度で十分です。また、VEMICがテレビチューナー機能を有していれば、高級カーナビゲーション装置と同様のカーテレビ機能を容易に実現できます。
 
 (5)VEMIC+電子ペーパー(受信機能付き) → 電子ブックリーダー
スマートフォンに電子書籍閲覧用アプリをインストールして電子ブックリーダーとして使用することは既に行われています。しかし、この場合にも、スマートフォンにはサイズ上の制約があるため、電子書籍閲覧用には、サイズの大きいタブレットPCや専用の電子ブックリーダーが用いられるのが通常です。
しかし、電子書籍ファイルを処理するデータ処理手段や電子書籍ファイルを購入・取得するための通信手段を備えるとなると、タブレットPCや電子ブックリーダーは一定の厚みや頑丈さをもつ筐体に収めざるを得ないため、長時間の読書をするのには適しません。
それに対して、VEMICに外部からの信号によって駆動される電子ペーパーを接続することによって電子ブックリーダーを構成すれば、読みやすさ(サイズの大きさ)と持ちやすさ(軽量性)の両立が容易に図れる。実際、データ処理手段や通信手段はVEMIC側が持つため、電子ペーパー側は、VEMICからの信号を受信する機能さえ実現できれば、いくらでも薄くできる。
 
 (6)VEMIC(タッチパネル機能 及び モーションセンサー機能付き)→万能型ゲーム機
現時点においても、スマートフォンやフィーチャーフォン向けのゲームアプリは数多く供給されており、携帯型ゲーム機にとっては大きな脅威になりつつあります。このような事情もあって、ゲーム機の主流は、タッチパネル機能付きのニ画面式携帯型ゲーム機や、様々なコントローラーを有する据置型ゲーム機に移りつつありますが、VEMICは、このようなゲーム機をも代替する可能性があります。
実際、タッチパネル機能付きのVEMICに対応するゲームアプリをインストールした上で、モニタ(小型のものでよい)に接続すれば、タッチパネル機能付きのニ画面式携帯型ゲーム機と同様のゲームを楽しめるようになります。また、モーションセンサー機能を有するVEMICに対応するゲームアプリをインストールした上で、テレビサイズのモニタに接続すれば、モーションセンサー機能付きコントローラを有する据置型ゲーム機と同様のゲームを楽しめるようになります。
 VEMICの普及がデジタル機器市場にもたらす影響は、現在、スマートフォンの普及がもたらしている影響よりもはるかに大きいものとなります。実際、スマートフォンの普及は、あくまでも携帯電話機の高機能化(日本国内の場合には、フィーターフォンからの移行)であって、その影響は、携帯端末市場内部にとどまるのに対して、VEMICが普及すると、デジタル機器市場全体のあり方を変えることになります。
上で例示したことから、VEMICが完全に普及した後には、デジタル機器市場は、以下の3つのカテゴリーに再編されると予想されます。
(1)VEMIC(VEMICのハードウェア及びOS・プラットフォーム)
(2)VEMICの周辺装置
(3)VEMICで動作するアプリ
もちろん、テレビにしろ、ビデオカメラにしろ、それ単独としての市場もある程度は残存するでしょう。しかし、インターネット接続機能付きテレビ(→インターネットテレビ)や、動画サイトへの投稿機能付きビデオカメラなど、あらゆるデジタル機器に何らかの通信機能が要求されるようになりつつある状況に鑑みれば、もともとの出自が通信装置であるVEMICがデジタル機器市場において中核的な位置を占めることは確実と思われます。